柿の直売所 なかい農園
直売所の住所 〒638-0641 奈良県五條市湯谷市塚町(ゆたにいちづかちょう)309-1
グーグルマップ上に「なかい農園」と検索すると出ます
電話番号 090-1581-4183
Fax番号 0747-32-8386
E-mail nakaifarm@d.email.ne.jp
それ以外のご来訪の場合、事前にお電話していただければ対応可能です
フルーツロード(奈良)とは?
フルーツロードとは、別名を五條吉野広域農道と言い、大雑把に言うと下市町と五條市西吉野町を結ぶ
約14キロの道路のことで、その近辺、広範囲にフルーツ農家さんが多数あります。
土壌が果物に適しており、ぶどう、さくらんぼ、桃、キーウィ、柿、梨、梅、等々、大規模に展開され、
まさにフルーツカントリーとなります。
柿の直売所
ここでは柿に注目します。
柿の生産は下市町より五條市が多いとのことで五條市の「なかい農園」さんを訪問しました。
何故なら、奈良の深い山々と果樹園が壮大に見渡せる展望台があるという予測をしたからです。
予想は的中で、遠距離を車で早朝から走った疲れなんぞすっ飛んでしまう美しい光景を農園内部から
見せていただきました。
なかい農園さんに到着するまでの道中―
携帯のグーグルマップを見ながら、下市町からフルーツロードを南下すると、あと「350メートル先」
というオレンジ色の案内板がありました。こういう案内板を見つけると不慣れな道中、ひと安心します。
その後、幹線道路のロードを下っていくと、右側に出てきます。
自動車を駐車場に停めると、なんと瞬時で敷地の中から出てくる人がいてーご主人様でした。
事前の連絡もせず、迷い込んでやってきたような私たちを、奥様と一緒に歓迎していただきました。
↑素敵なご夫婦。事情を手短に話すと、ご両人とも理解がメッチャ早く、なんと果樹園の中に
案内、いれていただきました。
そして、お二人とも、よく笑う!何を話しても、聞いても、興味津々で理解が早い!
柿を作るのが大好きということが、伝わってきます。
露地栽培の柿を初めて見学し―広大な果樹園に感動しきりで申しわけありません。なんだか厚かましい
ことこの上ないのに、親切な対応をしていただきました。
柿だけでなく何でもつくれる
みなさんは、こういう風景を見たことありますか。私の身近にはないです。
ご家族用の果物なので売り物ではありませんが、ブルーベリー、いちじく、クリも、立派に育って
いました。↓
何でも自分で、栽培できるというー理想的な生活。贅沢な豊かな暮らしですね。
なんだか、あまりにも自分が何も知らないようで、恥ずかしくなってしまうのですが、いつものこと。
フルーツロード沿いで唯一の展望台
ここの農園の奥にある展望台は、息をのむような光景があります。五條市の遠景、数々の果樹園、
そして緑深い夏の山々。緑が濃くー美しく、写真では伝えにくいですが、本当に絶景です。
そこにブランコがありー
11月に予定している柿の販売もここであるそうです。
その頃には、ブランコの横の大きいイチョウの木の葉っぱが黄色になり、そして柿の畑が黄色になりー
11月には来ようと決めた瞬間です。
11月の週末と祝日2日間の、ちょうど10日間だけの開放です。もしこの期間にかかわらず、商品の
問合せ・購入を希望する場合は、携帯で連絡すれば、対応していただけるそうです。
11月の柿の直売が間近 それでも柿のおいしさを伝えられない
「柿がおいしい」というけど、「本当においしいの?」と思う方もいるでしょう。
柿のおいしさをどう言葉で表現できるのでしょうか。
おいしくって甘い、ジューシーで柔らかい、というと主観的なものです。
甘くて、おいしいといっても、こんな甘いのは嫌いという人もいるでしょう。
という訳で、私も食べたのでご報告いたします。
なかい農園さんの直売所は11月の祝日と週末のみのオープンです。直売所で入手できるというー
この期間10日間のみの特別な催しです(ちなみに柿とキーウィがあります)。
10月のある日、「道の駅かつらぎ」で、なかい農園さんの刀根早生を購入しました。
既に刀根早生のシーズンになっていて、沢山食べた後です。
性質上、主観一筋のお話しとなりますが、語弊を覚悟で次に表現いたします。
食べる時は、できれば一人でいる時を選んで、静かに一口してみてください。
サクッと一口するとー幸福感が頭に、体にジワーと広がるのを感じます。
快感ホルモンが出るとは言いませんが、柿の花ことばにある、自然の「恩恵」を口にするかのごとく
幸福感がヒシヒシと伝わります。
その後、家族で頂きましたが、おいしい!と喜びました。
柿の味ー表現したくとも文章では表せません。
どうぞ、みなさんも機会があればご賞味いただけたらと。
ちなみに10月31日はハロイーンです。かわいいですね。
私は仏教徒ですが、楽しいので、最後に「おまけ」します。
「カキが赤くなると医者が青くなる」ということわざ
「カキが赤くなると医者が青くなる」という表現をみなさんはご存知でしょうか。
医者が青くなるほど栄養価が高いという意味です。
何故なら、ビタミンCが豊富に含まれているので、風邪予防、疲労回復、老化予防、美肌効果があります。
また、タンニンは血圧を下げ、食物繊維が便通を良くし腸を整えます。
二日酔いになった時の低血糖状態を補う果糖、利尿作用のあるカリウムも多く含まれ、まさに医者が
青くなるというのが分かります。
甘柿の代表として、「次郎柿」と「富有柿」がありますが「富有はあごで食べ、次郎は歯で食べる」と言われるほど、富有柿は果肉がやわらかいです。次郎柿は果汁が少なく噛めば噛むほど甘みが増すとされています。
以下、なかい農園さんから興味深い経験談をお聞きしたので、それを含め、みなさんと共有できればと。
普段は聞けない内容なのでーどうぞゆっくりとお楽しみいただければ幸いです。
日本は柿の宝庫
柿は日本では奈良時代からの食べ物で、その学名も柿(カキ)となってます(Diospyros kaki)。
生産地域のランキングは、1位が和歌山県、2位が奈良県です。
福岡県、岐阜県がそれぞれ3位と4位で追ってます。
奈良県の主要な生産地は、五條市、天理市などです。
標高100〜400mの丘陵地、年間を通して適度な気温と、水はけの良い土地に恵まれているという理想的な
環境が特徴です。「御所(ごしょ)」や、「富有(ふゆう)」「平核無(ひらたねなし)」「刀根早生(とねわせ)」が有名ですね。
なかい農園さんでは、渋柿の「刀根早生(とねわせ)」を9月から収穫し、JAならけんの選果場や道の駅で
販売されています。渋柿を甘くするためにエチレンガス(エチレンガスとは青果物が分泌する植物ホルモンで、熟成を促します。リンゴやバナナが甘くなるには、このエチレンガスが必要です。)で処理し、甘柿として販売します。
「刀根早生」は、実は奈良県が生誕の地ということをご存知でしょうか。
天理市の刀根さんという人が伊勢湾台風をきっかけに初めて育てたそうです。
「刀根早生」という題目で以下にエピソードにしていますので↓お楽しみに。
個人的には、柿の王様「富有」柿が最高においしいので、毎年、季節が来るのを楽しみにしています。
それ故、こんな背景の話があるとは想像もせずー。
まさに、「目からうろこ」の話を中井さんよりお聞きして柿農家さんの気持に近づけた気がします。
内容に間違い等があれば、どなたでも訂正していただけると嬉しいです。
日本一の柿のまち、五條市
「日本一の柿のまち」というのは、五條市の公式ホームページからの引用です。
押しも押されもせぬ柿への自信が、うかがえます。
特にハウス柿は、7月初旬より出荷され、全国シェア8割以上あります。西吉野地域を中心に、広大な
柿の果樹園が広がり全国有数の産地です。
柿には1000種類あるということですが、この柿博物館でその種類が一部紹介されてます。
甘柿と渋柿
柿には、甘い柿と渋い柿の2 種類、つまり甘柿と渋柿があります。
渋み成分「タンニン」が口の中で溶けると渋くなり、溶けなければ甘いということです。
甘柿と渋柿ともに、渋みが溶ける「可溶性」タンニンを含んでいますが、甘柿は成長過程でタンニンが
「不溶性」に変化して口の中で溶けなくなり、結果として渋みを感じなくなり、甘くなります。
渋柿を甘くする場合、アルコール(焼酎)やガスを使って処理し、タンニンを可溶性から不溶性に変化
させています。
一方、いわゆる干し柿は、渋柿を干し、渋みを自然に抜けさせるという過程をとります。
おいしさは最高ですね。
甘柿というと富有柿↓
岐阜県が発祥地ですが、奈良県が生産量1位です。
岐阜県瑞穂(みずほ)市には、富有柿を誕生させた「原木」の指定天然記念物があります。
瑞穂市から全国に富有柿の栽培が広がり、今では世界各国で生産され愛されています。
10月下旬頃から市場で販売され、食べごろは11下旬です。
形はふっくらと丸みがあり、果肉は柔らかく、果汁も多く、甘味が強いのが人気です。
「甘柿の王様」と言われる所以ですね。
渋柿として平核無(ひらたねなし)柿があります。種なし柿で、地域によっては「庄内柿」や「おけさ柿」
ともいいます。四角張った扁平形をしていて、重さは200~250g。前述の渋抜きを行うことで甘くなります。
口当たりはまろやかで果汁が多いです。↓
刀根早生(とねわせ)柿も渋柿で種なし柿です。
実は奈良県天理市の刀根さんによる品種で9月下旬に収穫されてます。平核無(ひらたねなし)より
半月ほど早く収穫出来るという、大きな特徴があります。
刀根早生
今回の台風10号も恐ろしく猛威を振るいましたが、1959年の伊勢湾台風(いせわんたいふう)を思い出す
人も多かったのではないでしょうか。
被害に遭われた皆様に、心からご無事と一日も早い復興をお祈り申し上げます。
伊勢湾台風は1959年(昭和34年)9月26日(土曜日)に潮岬に上陸、紀伊半島から東海地方を中心に
全国に甚大な被害をもたらし、死者、行方不明者の数は5,000人を超えたという・・大きな災害でした。
刀根早生の誕生は、この伊勢湾台風から始まります。
天理地域の柿園に伊勢湾台風は大きな被害を与えました。柿農家さんは、翌年の春から枝が折れた平核無
に接ぎ木をして復興をはかりました。その後、樹は育ち果樹園は順調に復興していきましたが、刀根さん
が接ぎ木した樹の一枝が他よりも早く色づく変化を見せました。
その10年後(1969年)、それに気づいた奈良県の担当者が、農業試験場に調査を依頼しました。
が、その時は色づきを早くする理由が特定できず新品種とは認められませんでした。
平核無の枝変わりとして品種登録されたのは約20年後の1980年のことです。
外観は平核無と変わりません。他の柿より出荷が早く9月(下旬頃)から店頭に並びます。
平核無と同じく地域によっては庄内柿やおけさ柿ともよばれます。
ハウス栽培ですと7月上旬から9月中旬に販売されます。ハウス栽培を行うことで、6月下旬に収穫が
始まり、露地の刀根柿、平核無柿、富有柿、そして2月上旬までの冷蔵柿までという、約8ヶ月の長期間で出荷が可能となったというーまさに革命的出来事が起こりました。
経済効果は大きく、奈良県の柿農家の規模が拡大し、後継者の確保が容易となりました。
同時に、農家以外でも農作業、収穫等、周辺の雇用増大が確保されたのは言うまでもありません。
この原木を10月に見ると、1本の樹で片方の主枝が刀根早生で、もう一方の枝が平核無ということが
果実の着色具合で分かるというーおもしろい現象が起こります。
御所柿(ごしょがき)
最後にもうひとつおまけ、「御所柿 ごしょがき」を付け加えます。
天皇や将軍に献上され、質が高いとされている甘柿です。奈良県の御所(ごせ)市が発祥の地です。
正岡子規の句「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」の柿であるとも言われています。
時代と共に大玉の柿の王様、富有柿などに押され御所柿の生産量は激減してしまうということがありました
が、栽培を本格的に復活するという動きもあります。