世界遺産 湯の峰温泉 つぼ湯
住所 和歌山県田辺市本宮町湯峯
湯の峰温泉駐車場 46台ほど(無料)
温泉街の入口に大きい敷地があります。
キャンプ、車中泊、飲食は禁止です。
トイレあります(もうひとつ、つぼ湯近くのトイレを含み合計2箇所)。
ほっこりと温泉につかり、心身ともにゆったりとしたい!と誰もが思います。
湯の峰温泉は、日本の最古の温泉という由緒ある内容があり、その中でも「つぼ湯」は、世界でも唯一の温泉場として、世界遺産となっています。また、子宝の湯として、人気があります(つぼ湯)。
熊野本宮大社から離れているので、分かりづらいかもしれませんが、熊野本宮大社と密接なつながりがあります。熊野古道の中辺路です。
世界遺産とされる所以です。
熊野参詣の折、人々が湯垢離場(ゆごりば)として利用した聖なる湯といえます。
江戸時代には、温泉のランキング番付で勧進元とされ別格扱いされるほどに効能のある温泉と知られていました。
1957年(昭和32年)には関西で初めて国民保養温泉となり、世界遺産となったのは2004年(平成16年)です。
国民保養温泉とは:温泉の利用促進を狙い、温泉法(昭和23年法律第125号)
第29条に基づいて環境大臣が指定した温泉地のこと。
熊野本宮大社より自動車で10分強です。
湯の峰温泉
本宮町の温泉は、「湯の峰温泉」「川湯温泉」「渡瀬温泉」の3つが有名ですね。
お互いに近距離に位置しています。
温泉大好きのファンであれば、湯の峰温泉、霊湯といわれるお湯の不思議な効能にあやかりたい、湯治をしたいと思うのは道理ですね。
有名どころとしては、小栗判官(おぐりはんがん)が蘇生した湯と語り継がれ、また、熊野参詣の折に中世の貴族たちが、湯の素晴らしさを日記に書き記しています。
が、実際に行ってみると、有名にもかかわらず、大げさな商業感、観光感がない、全体がひっそりとした街で、意外に思います。
この小さな驚きが、実は反対に、ここ独自の味を醸し出す原因となってます。
コンビニはありません。Vショップという小さな商店があります。
外食する施設(湯の峰食堂、湯胸茶屋)、民宿と旅館の宿泊する施設(旅館4軒、民宿10軒)も適切にあり、理想的だと個人的には思います。
小さな魅力満載のワンダーランド(wonderland)です。
いかがでしょうか。
食事と買い物の施設情報(利用される場合は各自でご確認ください)
湯の峰食堂(湯の峰温泉 売店・食堂)
温泉チケット売り場のすぐ隣にあります。
めはりずし、丼、うどん、そば等素朴なお店
メニュー豊富 天然鮎もあり
営業時間 11:00~20:30 定休日は月曜日(不定休)
15時~17時は休憩中の場合あり
席数は1階の16席
0735-42-1081
Vショップ湯の峰店
営業時間9:00~17:00
湯筒用の卵、野菜あります。
無休(不定休)
電話番号不明
湯胸茶屋
つぼ湯の近くにあります。
東光寺のご夫婦で経営されているようです。
メニューが豊富です。
営業時間 7:00~18:00(17:00)
不定休
由来と歴史
温泉発見者の慰霊碑
温泉街の道路の脇にひっそりと慰霊碑があります。
温泉の発見者は、熊野の国造、大阿刀足尼(おおあとのすくね)で、その案内板が道路のすぐ横にあります。
以下は引用です。
湯の峰温泉は、人皇第十三代成務天皇の頃(四世紀ころ)熊野の国造、大阿刀足尼(おおあとのすくね)によって発見され、その後歴代上皇の熊野御幸(ごこう、みゆき)によってその名も広く知られるようになった
成務天皇は、在位期間は131年から190年までといわれており、実在していた天皇かは不明です。
「古事記」「日本書紀」に記述されてはいます。
地方行政組織を整備したとされています。
それ故、開湯1800年といわれるのですね。
こういう開湯伝説は、その名の通り伝説としてあり、往々にして複数の伝説があります。
古い温泉地ほど、その始まりが伝説となるのだそうです。
湯の峰温泉公衆浴場の前の広場
湯の峰温泉公衆浴場のある広場が湯の峰温泉の中心地のようです。
つぼ湯を含め公衆浴場の予約は、ここで行います(朝6時から夜の9時、受付終了は夜8時半)。
つぼ湯は1回あたり30分です。
すぐ近くに、かわいい待合所があります。
その他には一般湯、くすり湯、家族湯があります。
詳細は後ほど。
私が9月の週末の午後に行った時はつぼ湯の待ち時間は90分待ちでした。
「90分かかるかどうか予測できないかも」と窓口で親切に教えてもらいました。
源泉は93度だそうです。お湯が熱すぎ、早く出てくるので待ち時間が短くなる場合もあります。
30分も入ってられないということですね。
その時、待合場所に本人がいなければ入浴できなくなりますね。要注意です。
朝一番(朝6時~)でいくと、待ち時間はないですね。
湯胸薬師東光寺 由来
湯の峰温泉公衆浴場の広場に東光寺というお寺があります。
一見したところ、山門、境内も見当たらなく、温泉と湯の谷川ばかりに注意がいってしまい、見過ごしてしまいそうです。
それで見逃してはいけない。
何故なら、この小さなお寺の存在感は大きいです。
現地にある「湯胸薬師東光寺由来」です。
墨で書かれた文字が、ちょっと読みづらいのですが、以下に記述いたします。
湯の峯温泉は、人皇第十三代成務天皇御代に発見せられ、日本最古の温泉として知られる。
現東光寺が最初の噴出地(湯元)です。
其の湯口に湯花が化石し、御丈け二丈余の薬師如来の霊形と出現せられしを、仁徳天皇の御代印度より渡来せられたる裸形上人、熊野三山苦行の砌(みぎり)、霊夢に依り感得せられ、衆生の病苦を救う為に尊像の周囲に草庵を結び、当寺を開基せらる。
又胸の穴より霊泉が湧き出でおりし故、湯胸薬師と呼び、此の地を湯胸と申せしが、後日今日の湯峯と転化をなす。
又難病をお救い下さる薬師様として、遠近の人々から仰ぎ親しまれ、特に脳病(頭痛)には、あらたかにして各地から祈願信者が参詣に訪れられます。
小栗判官も薬師如来の御加護を切に願い入湯、難病が全治せし事は有名で、世人の知るところであります。
小栗判官物語小栗判官は、伝説上の人物で、妻・照手姫の一門に殺された主人公が閻魔大王の計らいで蘇り、姫と再会し、一門に復讐するという日本の中世以降に伝承されてきた人気のヒーロー物語。...大要欺くの如き熊野唯一の湯峯温泉霊場として伊勢七度(ななたび)熊野三度(みたび)と申せし熊野詣(もうで)の盛んな節には当寺に参拝し必ず一泊し心身共潔めてから本宮大社に詣るのが順序で有りました。
其の習慣が残り毎年四月十五日例大祭には前々日十三日に湯登り行事として奉仕する人々が潔斎に湯登り神事が執り行われております。
合掌
もう少し、噛み砕きますと・・・
東光寺が最初の噴出地(湯元)ということです。なんと。
その湯口に湯花が化石し、御身丈約三メートル(「御丈け二丈余」とありますが、三メートルは一丈です)の薬師如来の形として現れたのを仁徳天皇の御代(4世紀末から5世紀前半の16代天皇、実在したか諸説あり)にインドから渡来された裸形上人(らぎょうしょうにん)が熊野三山での苦行の折、民衆を病苦から救うために、尊像の周囲に草庵を結(むす)び、当寺を開基されました。
裸形上人が開山ということです。
この尊像の胸の穴から霊泉が湧きだし湯胸薬師(ゆのみねやくし)と呼ばれていました。
これが東光寺のご本尊の薬師如来です。
なんと湯の花が化石化してできたご本尊です。
ご本尊の胸には、温泉の湯が吹き出てきたという穴があります。
秘仏のご本尊を見るためには、毎年1月8日の八日薬師祭です。
本尊薬師如来開扉法要で特別に拝見することができます。
興味のある方は是非どうぞ。
そういう訳で、この地は「湯胸(ゆむね)」でしたが「湯の峰」と変化して湯の峰温泉となったそうです。
難病から救ってくれる薬師如来として、遠近の人々から仰ぎ親しまれ、特に頭痛にはあらたか(神仏の利益や薬のききめなどが著しく現われるさま)で各地から祈願信者が参詣に訪れています。
小栗判官も薬師如来の御加護を信じ百日間、祈願し、難病が全治したという伝説は有名で、世に知られていきました。
熊野詣の盛んな頃は、東光寺に参詣し必ず一泊し、身心とも潔(きよ)めてから熊野本宮大社に詣るというのが順序でした。その習慣が残り、毎年4月15日例大祭には、前々日13日に湯登り神事※が行われています。
※熊野本宮大社例大祭の4月13日に行われる「湯登神事(ゆのぼりしんじ)」のことです。
和歌山県の無形民俗文化財に指定されています
湯の峰温泉で湯垢離(ゆごり、湯で身を清めること)をするというご神事です。
熊野本宮大社での最も大きなお祭りとなります。
熊野本宮大社別当寺院であった当寺は歴史が古く、特に本尊薬師如来の霊験はあらたかで、病気平癒を願い沢山の方がいらっしゃいます。
東光寺についての説明がこの一枚板の案内で、よく分かると思うのですが、いかがでしょうか。
湯の峯王子
東光寺近くの丘の上に九十九王子のひとつ、湯の峯王子があります。
国の史跡「熊野参詣道」(2000年指定)の一部となり、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部としてユネスコの世界遺産(文化遺産)として登録されました。
熊野古道の中辺路なので、この辺りも世界遺産なのですね。
湯の峰温泉公衆浴場
本題の温泉公衆浴場について情報です。
ここが一番の関心の的ですよね。
遅くなりました。
流れている川は四村川(よむらがわ)の支流、湯の谷川です。
そして橋は湯元橋といいます。
そこの広場に湯の峰温泉公衆浴場があり、希望する温泉の入湯料金を払います。
何か質問があれば、ここで聞くといいですよ。
親切に教えていただけます。
泉質は、含硫黄-Na-炭酸水素塩泉です。
92℃、無色です。
つぼ湯と湯筒(ゆづつ)から92度という高温の温泉が源泉から直接出ています。
つぼ湯は一日に7回色が変わるとされていますね。透明の時もあります。
湯筒では、近くの任意のお店から、野菜(さつまいも等)や卵を購入し、ここでゆでることができます。
さぞかし、おいしい味になるでしょうね。卵は10分から11分ほどかかります。火傷に気を付けましょう。
温泉の効能はリウマチ性疾患、神経痛、皮膚病、糖尿病、筋肉痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、慢性消化器病、やけどなどにあります。
飲用の場合は、慢性消化器病、慢性便秘、痛風、肝臓病に有効といわれています。
なんだか、通常の聞いたことがある病気はすべて治癒しそうな・・温泉ですね。
一般湯、くすり湯、家族湯があり、料金は表のとおりです。
つぼ湯利用者は、湯の峰温泉公衆浴場の「一般湯」または「くすり湯」にも一回入浴できます。
くすり湯も、熱い温泉を冷まして使用するので、何も足されないということです。効能がばっちり出るということですね。それ故、石鹸やシャンプーの類は使わないようになっています。一般湯にも入れます。
一般湯には、シャンプーとボディソープが完備されており「あつめ」と「ぬるめ」から選べます。
家族湯は名前の通り、家族で貸し切り(30分)できますね。同日で一般湯もしくはくすり湯に入れます。
温泉くみとり所では温泉水を持ち帰れます。(6:00~21:00、10リットル100円)
30分の至高の幸せ
つぼ湯は、川底に建っている木製の小屋の中にあります。
直径1メートルほどの、小さな岩風呂です。
90度程の高温で底から湧き出していて、自分の好みになるように水を追加します。
1日に色が7回変化するという神秘的なお湯です。
出入口です。