みたらい渓谷
天川村の観光は、洞川温泉周辺と修験道が大きな魅力となります。
それ故、洞川温泉街を目指すのではないでしょうか。
私たちも、そうでした。「行者さん通り」を初めて歩いた時は、まるで、世俗から、悠久の癒し空間に放り
出された感覚で衝撃でした。その後、何度か訪問してますが、その印象は変わることはなく、さらに深く
なっていくような気がします。
そして、時々耳にする「みたらい渓谷」という地名。
この地域の、魅力に酔いしれている私たちは、「みたらい渓谷に行こう。」という気持ちが徐々に大きく
なり、とうとう実行する日となりました・・・みたらい渓谷をご紹介いたします。
駐車場は2ヵ所 無料と有料
近畿の都市圏から、奈良に車で南下しますが、通常、自宅からの出発は、まだ、うす暗い時間帯を選びます。
そうすると道路も混んでなく、現地での駐車場にも困らないからです。
みたらい渓谷の近辺の駐車場は簡単にいうと有料駐車場と無料駐車場とで合計2ヶ所あります。
両方とも台数に限りがあり、シーズン中は満車状態になりますが、早めに行けば、問題が起こらないと信じて
出発します。
また、みたらい渓谷は全行程を歩くと8キロ弱あり、ある程度の準備が必要となります。
渓谷の魅力を短時間で堪能する場合は、大雑把にいって、哀伝橋の周辺のみたらいの滝と光の滝近辺です。
体力に自信がない時等、みたらい休憩所の有料駐車場をお勧めします。
無料駐車場を使用する場合は1.5キロほど、35分ほどの下りの山道を歩くことになります。
一方、洞川温泉街の近くに駐車するという方法もありますが、渓谷からは少々遠くなるので、これはアクセス
方法を別に考えないと。どちらにしても、皆さん、ご自分に適した方法をお選びください。
無料駐車場 観音峰登山口(かんのんみねとざんぐち)休憩所
住所 奈良県吉野郡天川村洞川
標高 779m
大阪から南下すると仮定し、国道309号線沿いの「天川村綜合案内所」を左側に過ぎ、その先の川合の交差点
を、さらに左折後、洞川温泉方面を目指す、県道21号線(すずかけの道)を進みます。
1車線のクネクネした道路で少しずつ標高が上がっていくと、やっと来たかという感動が現実化します。
1988年竣工という虹トンネルを通り抜け、すぐ右側が無料駐車場、観音峰登山口休憩所となってます。
↓下の写真は右端に県道21号(すずかけの道)があり、その左が駐車場です↓
↑駐車場から橋を渡り、遊歩道に入ります↑
そこから少しだけ、すずかけの道を洞川温泉の方にさらに進むと、ダーク系の、おごそかな門に歓迎されます。
ここには観音峰登山口のバス停もあり、周辺のイロハモミジが秋に真っ赤となり圧巻となるのでお見逃しなく。
また、紅葉の夜のイルミネーションには、思わず車を停め撮影してしまいました。
夜間、ここを車で通過するのは希少価値として、少しだけですが、ご披露させてください。
みたらい休憩所 有料駐車場
住所 奈良県吉野郡天川村北角(きとずみ)
電話 0747-63-0999 (天川村総合案内所)
標高 647m
みたらい渓谷は国立公園ではないので私有地と想像いたします。複数の所有者がいるのではないでしょうか。
1年を通じて、その自然の原風景の美しさは、期待を裏切ることはなく、「訪問者に楽しんでもらいたい」
という地元民の心意気を個人的には感じます。
そういう背景を思うと1時間500円の駐車料金は安価と感じるのですがー私だけでしょうか。
ここの国道309号線、狭いです。混雑時、工事のある時期等は、運転に細心の注意が必要ですね。
こういう狭い山間部にあることで、この地域の良さがある、と個人的には思っているので、マイナス点と思わ
ないのですが、皆さんはどうでしょうか。
台数に制限があり(16台)、すぐ近くのレストラン(みたらい)でも駐車できます(同じ料金)。
かつ、休憩所に係員がいない時間外は、この上記のレストランで料金を払うという手続きになっています。
もし機会がありましたら、試してみてください(私はレストランの駐車場は利用したことがないので)。
みたらいの滝と光の滝
「みたらい渓谷ハイキングコース」という地図が、天川村総合案内所もしくは洞川温泉観光案内所で取得
できます。とても分かりやすい地図なので、是非どうぞ。
どちらの案内所に行っても、親切に対応していただけます。
特に総合案内所(川合263-1)にいる女性は最高です。
どんな不躾な質問にも答えてくださり、快適な時間を過ごしました(感謝)。
この地図を見ると、みたらい渓谷の西側に、天川村で唯一の信号があるという川合の交差点があり、
一方、洞川温泉街は北に位置します。観音峰登山口駐車所を北進すると洞川に到着するということです。
(初期の段階で個人的には、この地理関係が分からなかったので、念のために追記。)
当方は事情により1ヶ所を取材する時間が長く、多くを一度に網羅することは困難なので、みたらいの滝
近辺と光の滝までの「一番の見どころ」と言われている場所を中心に、ご報告させていただきます。
どうぞ参考にしてください。
天川村 「天の国、木の国、川の国」
天川村は「天の国、木の国、川の国」というユニークな名前を持ちます。
吉野から大峯を経て熊野に至る「大峰奥駈道」の大峯山で修業する修験道の拠点で、
「紀伊山地の霊場と参詣道」として大峰山寺とともに世界文化遺産に登録されています。
大峯山というと、通常は、山上ヶ岳(1719m)をさしますが、同時に、南の弥山(みせん)(1895m)や、
近畿地方の最高峯、八経ヶ岳(1915m)を含む山系をもいいます。
ご存知の通り、大峯山は、今でも女人禁制という伝統が保持されているのは有名ですね。
この山々があるからこそ、雨量、湧水が豊かで、それ故、水が豊かな郷「水の郷」として人気があるかと
感じます。
天川村 川の国 水の郷
ここでは「川」と「水」に注目いたします。
水が地域の歴史、文化となり、水を活かした故郷づくりをしている天川村。
国土交通省は、奈良県では唯一、天川村を水の郷百選(みずのさとひゃくせん)に選んでいます。
ごろごろ水、名水とうふ、名水コーヒーが定評、おいしいです。
そして、峡谷から流れ出る豊かな清流は、山上川、川迫(こうせ)川、白倉川となりますが、これらの川が
天ノ川に合流している場所が、みたらい渓谷です。
実は、この天ノ川は十津川(奈良県)となり、最後に紀伊半島を滔々と流れる熊野川(和歌山県)となります。
みたらい渓谷は、渓谷というよりV字型の峡谷で、その断崖絶壁に人の手が入ってないかの如くの雑木林が
生命力を見せてくれています。そして、木々の枝の繊細さは格別です。
巨岩、奇岩で埋まった谷と、その間をたおやかに流れる水流を見ると、芸術家は誰もマネできないかのような
自然の造形美に、時の流れを忘れてしまったような気がしますが、いかがでしょうか。
カメラのレンズ越しでは、伝わらないので、みなさんも体験してみてください。
では、具体的にみたらい休憩所に車を駐車し、光の滝までの、ゆっくり歩いて20分ほどの渓谷遊歩道を
ご案内します↓
みたらい渓谷遊歩道入口
しょっぱなの入り口から哀伝橋までは、こういう階段が続きます。
なんだか、これからの歩きの「きつさ」を予言するような階段です。
登り坂の遊歩道となりますので、途中でたっぷり休みながら、ユックリ歩くのをお勧めします。
哀伝橋の上からみたらいの滝が良く見えるようになります。
みたらいの滝
標高671m。落差25m、3段の段瀑。
(↓訪問日が紅葉にベストにならず・・以下の2枚は別の日の写真です。参考にしてください。)
↑ 2段目と3段目が見えます。
↑ みたらいの滝の奥に、小さな滝が見えます。天候も日々変わり、水量も変化するんですね。
↑ 滝が落ちる岩石の端ですー危険なので良い子は、決してマネをしてはいけません。
↑こういう巨岩と渓流の峡谷ハーモニー・・・他では経験できないのではないでしょうか。
ここは休憩できる場所となってます。
光の滝
落差15m。
この辺りとなると、みたらい休憩所からゆっくり歩いて20分ほどの距離です。
実際に歩いてみると近いです。
南朝の歴史と深いつながりのあるという渓谷。
この滝の中から護良親王(もりよししんのう)に向かって光が差したという伝説があります。
14世紀の南北朝時代とは、2つの朝廷、2人の天皇がいた時代です。
鎌倉幕府滅亡後の時代で、室町時代が始まる前の時期となります。
吉野の南朝の後醍醐天皇、護良親王、後村上天皇、長慶天皇、後亀山天皇を天川郷は擁護したことから、
南の天皇は天川郷を重要な拠点、心の支えにしていた資料が豊富に残っています。
また、天然の要塞として皇族が敵の来襲からここに避難したという、ロマンを秘めた伝説があります。
哀伝橋は哀しみを伝える橋という名前ですが、こういう南朝のロマンも秘められているのか、どうか不明
ですがーここの自然の圧倒的な美しさには無縁なような気がします。みなさんはいかがでしょうか?